実現率1%の邦画界にまつわる、映画監督と原作者の本音と諸事情 - 深川栄洋監督×原作・加納朋子
当時、怒鳴られた子も今は高校2年です(笑)。
――機内や電車内などでのそのような出来事が時々ニュースになっていますが、十数年経過してもそういう揉め事は変わらないものなんですね。最近では、直接的に怒鳴らない場合でもTwitterなどを使ってネット上に拡散させるケースもあるようです。
加納:社会は意外と優しくないんです。ベビーカーを持ってウロウロする描写もありましたけど、私も抱えて駅の階段を昇り降りしている時に、唯一人手助けを申し出てくださったのは、外国人男性でした。手伝ってほしいとかそういうことではないんですが、そういう行為をナチュラルにしてくださる方が外国人だったというのが、振り返ってみると印象に残っています。
――監督としてもあのシーンは映画でも入れたかった場面だったのでしょうか。
深川:小説が持っている、「母親になってみないと分からない苦労」を伝えるシーンは大事な問題になりそうだったので極力残したいなと思っていて、その1つが電車のシーンでした。
僕も子どもができた後に気づくことが多くて、ベビーカーを代わりに持ってあげることなんかは子どもができてからようやくそこに目がいくようになりました。