2014年12月6日 10:51
『宇宙戦艦ヤマト2199』の"ウィンドウ戦略"から見える、現代のアニメビジネスのトレンド
だが「大宇宙を舞台にした冒険航海というロマンあふれる設定」「SFマインドあふれる緻密なメカニック描写」といった『ヤマト』の魅力は、10代に熱狂的なファンを生んだ。こうしたファンの支えにより、1977年にはTVアニメを再編集した劇場版が大ヒット。これを起点としてアニメブームが巻き起こることになった。
『2199』はこのような伝説的な作品を現代に蘇らせるべく制作された。リメイクにあたっては「オリジナルを尊重する部分」と「現代的にアップトゥデートする部分」が慎重に選択された。音楽や効果音、メカデザインについては極力オリジナルを尊重し、一方でキャラクター描写やSF設定などは現代の視線で新たに再構築された。
『2199』はオリジナルと同じ全26話ということで制作が進んでいたが、ファースト・ウィンドウとして選ばれたのは映画館におけるイベント上映だった。全26話を全七章に分け、全国10数館の規模10館で数カ月おきに上映していくスタイルが選ばれたのだ。
『2199』のウィンドウ戦略の特徴はここに端を発している。そもそも連作シリーズを劇場で上映するというスタイルの嚆矢となったのは2007年から公開された『劇場版空の境界』シリーズだ。