モバイルでクロスプラットフォーム化を促進するMicrosoft - 阿久津良和のWindows Weekly Report
Nadella氏が発したキーワード「モバイルファースト、クラウドファースト」は、人々が持ち歩くデバイスだけではなく、出向いた先にあるデバイスを含むモバイル、そして、これらがすべてクラウドへ常につながった世界をMicrosoftが目指すというものだ。そこにはデバイスはもとよりOSというプラットフォームの仕切りすら存在しない。その姿勢をよく現しているのが、iOS/Android向けのアプリケーションやサービスだ。
以前のレポート記事でも紹介したように、クロスプラットフォームに対する取り組みはOfficeチームが特に際立っている。もちろんOSのような縛りが存在しないからこそフットワークも軽く、iOSやAndroidといった他のOS版をリリースできるのだろう。
Officeチームはさらにオンラインストレージという分野でもクロスプラットフォーム化を推し進めている。
2014年11月にはDropboxとの提携を発表し、iOS/Android版OfficeアプリケーションからDropbox上のファイル編集を可能にした。
Microsoftが自社のオンラインストレージであるOneDriveにこだわらず、他社製オンラインストレージをサポートしたことに驚きを覚えた方も少なくないだろう。だが、前述したNadella氏の方針を踏まえれば、それすらも不思議な話ではない。そしてOfficeチームは新たな施策を発表した。
ポイントは「Cloud Storage Partner Program」の設立と、「Office Online(旧Office Web Apps: 2014年3月に改称)」もオンラインストレージを統合したという2点。
2月17日にリリースしたiOS版Officeのバージョン1.6は、iCloudなどオンラインストレージ上のファイル編集・保存を可能にした。ただし、OneDriveやDropboxと異なり、Microsoftアカウントによる「サービスの追加」には未対応。ファイルピッカー画面から「その他」を選び、さらに「場所」から使用するオンラインストレージサービスを選択する仕組みになっている。
OneDriveやDropbox上のファイルをシームレスに編集できる経験をすると、煩雑な印象を受ける。なお、筆者が確認した限りでは、2月19日にリリースした同バージョン1.6.1でも結果は同様だった。
Officeチーム担当CVPであるKirk Koenigsbauer氏は、Windows 10に対応するユニバーサルアプリや、Android向けOfficeにも今後、同様の機能に取り組んでいることを明らかにした。BoxのCEOであるAaron Levie氏も、新プログラムの創立メンバーとして参画したことをうれしく思うと表明している。
そして、Office Onlineの統合は、iOS向けOfficeと同様にOffice Onlineからもオンラインストレージを使用可能にするというもの。ただし執筆時点では動作せず、オンラインストレージ名もMicrosoftがサンプルとして使用する仮想企業"Contoso"であるため、開発中なのだろう。Koenigsbauer氏はローンチ時期を明らかにしていない。
Koenigsbauer氏が述べるように本発表は、「小さな拡張に見えるが、Officeアプリケーションやユーザーにとって重要なステップ」であり、冒頭から述べてきたクロスプラットフォーム化を加速させるファーストステップとなるだろう。
Windows 10はデバイスサイズを問わない"One Windows"、Officeはクロスプラットフォーム化、そしてサービスやあらゆるデバイスの背後に位置するクラウド。Nadella氏の「モバイルファースト、クラウドファースト」は着実に歩みを進めている。
阿久津良和(Cactus)
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