これまでにない技術の"使い方"が新たなイノベーションを生む - クリエイターの祭典「eAT KANAZAWA 2015」(1)
(現在の製品名はMax)を駆使した音楽制作活動に傾倒。電通に入社後は、自然言語処理やデータ解析ソフトの開発などの研究開発業務へとつながっていった。
電通に課されたのは、これをどうやって魅力的なものとして大衆にプロモーションするかだった。打ち合わせでは、ホンダのエンジニアからインターナビのテクノロジーをデータとともに説明された、コピーライターやアートディレクターなどの従来の広告クリエイターではこの意義を理解するのが難しかった。そこで呼び出されたのが研究部門にいた菅野氏だったという。同氏は細かく記録された走行データを見て分析を開始。「ホンダのみなさんと、ディスカッションしながら作った」というアプリにデータを読み込ませると、走行データが光の粒として画面を動き出す。数万台のインターナビ搭載車のデータから作られた光の粒は、アニメーションしながら軌跡が次第に道路を描いていく。
菅野氏は、ホンダ、電通側の両スタッフでアプリをみながら「このデータだけでほぼ日本の地図のように描けますね」と話していたと振り返る。「ビッグデータの可視化」は統計の世界ではこの時期に始まっていたものの、菅野氏はそれを単純なグラフではなく、エンターテイメントにも通じるグラフィックへと昇華した。