女の節目~人生の選択 (12) vol.12「初めての、泥酔」【20歳】
であることくらい、私とて理解していた。理解しているからこそ試しに注文してみたのだが、私はこの手の酒、つまりカルピスサワーや梅酒ソーダやカンパリオレンジと、みずからの女性性との間に、結局あまり連関を見出せなかった。
なんかキッツイ酒ください! と頼む私の傍らで、ビールを一、二杯で泥酔する人たちがいた。私にはそれが興味深かった。泣いたり笑ったり、いきなり怒ったり、割り勘の精算はおろかまっすぐ歩くこともできなくなっている姿。酔った途端に横暴な態度をとりはじめる先輩がいて、「酒の席で真面目な話なんかするな!」と、酒の席だからこそ盛り上がるはずの会話を強引に中断されたりもした。この人にとって、お酒とは不真面目なものなのだな、と不思議な気持ちになった。
九州出身の学友たちにも驚いた。
焼酎しか飲まない。私は当初、彼らがお国自慢の冗談として、示し合わせてわざとそうしているのだと思った。でも本当に、焼酎しか飲まない。誰の部屋へ遊びに行っても、買い置きは焼酎。どんな店でも、ボトルで焼酎。ほとんど飲んだことのなかった私は、渡されるまま盃をあけてしたたか酔う。目を回していると「東京者は酒が弱いなぁ」と笑われた。