人に聞けない相続の話 (5) 「遺言書」を書く場合はどんな点に注意すべき!?
連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。
【ケース5】
「すべての財産を長男に相続させる」。
49日法要が終わり、生前父が親しくしていた弁護士が預かっていた自筆証書遺言を読みあげました。
兄は無言でうなずき、弟は無言でその場を立ち去りました。
父親の生前、兄は地元に残り父親が経営していた事業を手伝い、弟は東京に出てサラリーマンをしていましたが、数年前に父親とちょっとした口論があってから何年も実家に顔を見せていませんでした。
後日、弟は弁護士に相談し、遺留分減殺請求の訴訟を提起しました。
小さい頃は仲の良かった兄弟ですが、相続の境に互いに口を利くことはなくなり、遺留分減殺請求の裁判が決着するまでに3年の年月がかかりました。
【診断結果】
遺言を書くと有効又は書かなければいけないのは、次のようなケースです。
法定相続人以外の人に財産を渡したい
法定相続分とは異なる割合で、財産を渡したい
特定の財産を特定の人に渡したい
(1)の典型は、内縁関係の方に財産を渡したい場合です。