人に聞けない相続の話 (6) 「法定相続分どおり平等に分けて円満」ってホント?
本事案では、長男が妻と2人の子供と一緒に母親と同居し、数年前から少し体が不自由になった母親を長男家族が親身になって世話をしていました。
10年ほど前にガンで父親が亡くなってからは、長男が家の大黒柱として家計を支え、古くなった家のリフォーム費用なども支払っていました。
母親の生活も長男がすべて面倒を見ていましたので、長男としては、自宅以外のその他の現預金などは次男に譲っても良いが、自宅は自分が引き継ぐのが当然であると考えていました。
一方、次男は、大学卒業後、大阪で就職・結婚し2人の子供と暮らしていましたが、勤務していた会社がリーマンショックの後遺症から立ち直れず、年収も下がり、妻もパートに出るようになっていました。
長男から提案があった分割案は、自宅5,000万円を長男、現預金1,000万円を次男が取得することになっており、次男には不利な遺産分割案でした。
長男が母親の面倒を看ていたこともわかっているので、長男と揉めたくはないという気持ちもありながら、5,000万円対1,000万円は、何も言わず印鑑を押すには金額の差が大きすぎる気がしていました。長男と仲違いしたいわけではないので、率直に勤務する会社の状況を長男に伝え、法定相続分をもらいたい意向を伝えました。