"紙と鉛筆"が支える21世紀のアニメコンテンツ、その行方は - ACTF「ペーパーレス作画の現状と未来予測」
こうした「アナログからデジタルへ」という産業構造の変化は、すでにデザイン、イラストレーション、漫画、映画などの実写映像、音楽など、さまざまなクリエイティブ産業では先行して起こっていることでもある。デジタルツールの使い方に親しむことで、これまで他業種への転職が容易ではなかったと言われるアニメーターにとっても、ある程度"つぶし"が効く技能を身につけた上で、時短により生活環境の余裕が生まれるとも考えられる。
もちろん、全工程をデジタルにすればすべての問題が解決するわけでもないし、ここまで述べてきたのは楽観的すぎる見通しであることは否めない。しかし、現状の厳しい状況のまま、世代交代しながら業界を存続、ひいては発展させていくのはかなり厳しい、と業界外から見ていても強く感じる。今回第1回の開催となったACTFだが、多忙な中アニメーターはじめ関係者が足を運んだのは、やはり切実に変革を求める機運が高まっているからではないだろうか。今後こうした協業の機会を重ねることで、業界内の変化は加速していくだろう。何よりアニメ制作に関わるクリエイターたちにとって、よい方向へ進んで行くことを願ってやまない。