"紙と鉛筆"が支える21世紀のアニメコンテンツ、その行方は - ACTF「ペーパーレス作画の現状と未来予測」
しかしながら、Flash上で実行される二値化が簡易処理であるため線が荒くなってしまうという弊害があり、主戦力として導入しようとすると小さなところでつまずくという実体験も披露。時には「作画のクオリティーが下がるのでやめてほしい」と言われてしまうこともあったという。
しかしながら、JSFLアクションスクリプトなどのFlash用マクロでアニメーション制作向けのカスタマイズを行えること、データがとても軽いためやりとりが容易なこと、プレイヤーセットでデータを渡せるので簡単かつコマ送りで動画チェックを行える点などは、同ツールならではの利便性であると熱弁。自身の経験でつまずいた部分も明らかにしながらも、同ツールによる制作が業界内でも広がれば、とプレゼンテーションを行っていた。
○原画マンのデジタル対応
話題を旭プロダクションの事例に戻すと、同社でキャラクターデザインなども手がける橋本氏から、描画を手がけるアニメーター側のデジタル対応について語られた。原画制作に関するデジタルの利点は「クオリティーをあげることに集中できる」こと。橋本氏の感覚として、手を動かすスピードはあまり変わらないが、微調整がアナログよりずっと楽で、1枚辺りのスピードはそのままだが、その分クオリティーが上がったと話していた。