成田空港第3ターミナルに陸上トラックが現れた理由は? - クリエイティブラボPARTY・伊藤直樹が仕掛けた「空港のデザイン」
導線を明確にすることで、電光掲示板の案内を最小限にし、コスト削減にも成功している。
――なぜ、陸上トラックになったのでしょうか?
伊藤さん:
学生時代に陸上部だったことや、仕事でスポーツブランドとの関わりが多かったこともあり、「走る瞬間のポジティブな感覚」を表現できたら面白いな、と思ったのが提案のきっかけです。3年前に実施した最初の企画からずっと、この提案は続けてきました。
今回の設計コンセプトは「more than 2 into 1―ふたつ以上の機能をひとつのものに集約するという経済合理性―」でした。要はニコイチというやつですね(笑)予算が限られていますから、サインにサイン"だけ"の仕事をさせていたらとても追いつかない。それに加えて、トラックを歩いていたら搭乗口についた、みたいな体験が生み出せたら面白いだろうなと思ったんです。
空港の動線というのは、実はとてもシンプルです。誰もが電車やバスで入口から入り、検査をうけたら搭乗口に向かう。
だからこそ、トラックにできたというのもあると思います。それに、空港の移動というのは、かなり負荷がかかるものです。荷物は重いし、とくにLCCは(搭乗に至るまで)