女の節目~人生の選択 (14) vol.14「初めての、就職」【23歳】
いや、ちょっと、そういうことは、していないんですよ、と言われて、私の継いだ二の句は、こうだ。
「でも、どの日に誰を面接するかって、御社が機械的に決めたことですよね。もし他に指定の日時では都合が悪いという受験者がいたら、その方と私のアポイントを入れ替えるのはどうでしょうか。それだとすごく助かります。そういう人も、いなくはないと思うんですよね」
電話を切って研究室に戻ると今度は教授に呆れられ、「こちらの用事はいくらでも動かしていいから、言われた通りの日に行きなさい。会社員になるって、そういうことですよ」といったようなことを諭された。当然、総務部から二度目の連絡はなく、私はうんざりした思いで、指定された日時をあけて面接に出向いた。
○僕はここで見ていよう、君が堕ちていくところを
新卒採用試験を受け始めたのは、2002年末からだ。
私にとって「サラリーマン」は最もなるのが難しい職業と感じられ、だからこそ、会社員に憧れていた。何せ、自分で好きに名乗る肩書きと違って、自分以外の誰かに選ばれなければならない。卒業後すぐフリーランスになったり、バイト先でそのまま働く選択肢もなくはなかったが、まずは挑戦してみたかった。