2015年4月20日 11:00
生き物たちの驚きの能力に迫る (1) 海の砂漠化を防げ! - サンゴの白化の謎に挑む日本の研究者
○海の砂漠化、サンゴ礁の白化を救う「スーパー褐虫藻」とは?
生物の能力は人間の想像を遥かに超えているのかもしれない。他の生き物と共生したり、時に利用したりしながら、生きるしたたかさを持ち、極限環境でも死なない術をもつ。しかし地球環境の悪化の影響も確実に受けている。そうした生き物の「多様性」や「生態」に今、注目が集まっている。
「ゲノム解析技術が進歩し、細胞もヒトも同じという普遍性を知ったうえで、やはり多様な生き物を見なければ生命現象はわからない」とJT生命誌研究館館長の中村桂子博士はいう。3月22日に行われた第18回 自然科学研究機構シンポジウム「生き物たちの驚きの能力に迫る」では第一線の生き物研究者や昆虫・植物写真家らが、最新の研究や活動について講演を行った。その内容を紹介していく。
○2030年までに世界の60%のサンゴ礁が失われる!?
サンゴ礁は美しい海の代名詞だ。
しかし今、世界のサンゴは危機的な状態にある。「サンゴの白化」だ。浅瀬に生息するサンゴ(造礁サンゴ)は世界で800~1000種類あり多様な形や色をしているが、死にかけたサンゴは白化する。基礎生物学研究所の高橋俊一 准教授によれば「現在、世界の30~40%のサンゴ礁が白化し、沖縄のサンゴ礁も白化のダメージを受けている」