2015年4月20日 11:00
生き物たちの驚きの能力に迫る (1) 海の砂漠化を防げ! - サンゴの白化の謎に挑む日本の研究者
一方、サンゴは褐虫藻に無機塩類を提供します。これは植物を栽培するときの肥料のような役割をする。つまりお互いに助け合っているというわけです」と高橋准教授は説明する。
そして高橋准教授によると「サンゴには元々色はない。サンゴの色は共生している褐虫藻の色なのです」とのこと!
では、サンゴの白化はなぜ起きるのだろう。白化は2つのメカニズムで起こると考えられている。1つは「共生していた褐虫藻がいなくなる」こと。そしてもう1つは「褐虫藻の色素がなくなる」こと。
後者について、高橋准教授は研究を行っている。
研究の結果わかってきたのは、サンゴの白化が起こる前に、高温によって褐虫藻の「光合成装置(PSII)」が壊れることだった。さらに調べていくと、壊れることが問題でなく「壊れた装置の修復」が進まないことが問題だったという。「たとえば車のエンジンが壊れたときに、壊れたパーツを取り外して新しいパーツと取り替えますよね。この新しいパーツを作るステップが、水温が高温になると止まることを見つけたのです」(高橋准教授)。
サンゴの白化は、高温で褐虫藻の光合成装置(PSII)が壊れ、修復が進まないために、光合成色素をもつアンテナタンパク質が失われることが原因だった。