兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (8) 漫画家の夫をめぐる「傾向」と「受難」
「お前はクソの仕方が汚い、と焼きゴテを押されても眉ひとつ動かさない」「俺でも耐えられないほど貴様の部屋は臭い、そのうち自分の臭いで死ぬカメムシみたいになるぞ」 と言われているのである。とても大人の女性が怒られる内容ではない。亭主関白を貫く一家の大黒柱でも、ここまで配偶者の手を煩わせないだろう。その上、当方の柱としてのスペックは先述の通りである。 反省してトイレはキレイに使うように心掛けているが、部屋は未だに臭い。
このような状態なので、少なくとも「共働きでも家事は女が主にやるもの」という意識をもった相手ではとっくに家庭崩壊しているだろうし、顔を合わす時間はあっても、ゴミの山で相手の顔が見えないという事態になることは容易に想像できる。
○「作家の家族」の受難
また、作家の配偶者というのは、勝手にエッセイなどに登場させられている場合が多い。私も、こういった文章やエッセイ漫画などにたびたび夫を登場させているが、全て無許可である。
女性作家というのは男に比べてえげつなくプライベートをネタにする傾向があるので、例え夫が酒におぼれようが、ギャンブルで大借金しようが、浮気をしようが、離婚になろうが、転んでもただでは起きない。