コピーライターに聞いたコミュニケーション術(尾形真理子さん) (2) マイナスな状況を改善できる能力こそが、コミュニケーション能力
――その思考は、どうやって身についていったんですか?
……やっぱり、失敗だとか怒られたりとか外されたりとか、経験が大きいと思います。
うまくいっているときの、プラスのコミュニケーションって簡単なんですよね。たぶん恋人の関係とかもそうで、関係が良好ならば何を言ってもコミュニケーションになる。「このほうれん草おいしいね」「いやそれ小松菜だよ」っていう会話ですら、すごく幸せ(笑)。だけど、それが険悪な状況だったらどうなるでしょうか? 自分から踏み出せる一歩を持っているか。マイナスな状況を改善できる能力が、コミュニケーション能力なんだと思います。
――マイナスな状況は多いですか?
クライアントと世の中の人に、そもそも関係があるものばかりではありません。企業がAという商品を出したい、売りたいと考えても、消費者から見ればBでもCでもいい。
「これを買ってほしい」ときに、どう回路をつくれば関係が生まれるか、と考える仕事なんです。マイナスな状況で、いかにプラスを作れるか。それは広告の思考なのですが、結局自分のキャリアの思考にもなっていると感じます。"くせ"に近いですね。
コピーライターには、シニカルに聞こえるようで、意味はポジティブ、という発言をする人が多いです。