くらし情報『このコマに描かれているのは昭和19年4月17日 -『この世界の片隅に』片渕須直監督と原作者・こうの史代の真剣勝負』

2015年5月4日 19:00

このコマに描かれているのは昭和19年4月17日 -『この世界の片隅に』片渕須直監督と原作者・こうの史代の真剣勝負

トークでは、まずはこうの氏が『この世界の片隅に』を描いた経緯を説明。前作『夕凪の街 桜の国』では原爆、広島というテーマを編集に勧められて描いたこうの氏が、おばあさんと一緒に住んでいた呉時代に聞いた戦時中の話を漫画にしたという。前作が与えられた課題であったのに対し、『この世界の片隅に』はこうの氏自身の中から生まれたものだった。しかし"二匹目のドジョウ"的な見方をする人も多く、批判的な声も多かったそうだと片渕監督は語る。実はそんな原作者・こうの氏にとっても、クラウドファンディングの2,000万円達成は、それだけの応援、肯定的な支えがあることを実感できる意味で、とても大きかったという。資金調達の手段であるクラウドファンディングが、クリエイターにとって応援やサポートの可視化につながり、制作の支えやある種の救いになるというのはとても興味深い。

実制作に話が及ぶと、片渕監督は『この世界の片隅に』原作コミックの1ページ目を提示する。ごく普通の風景に見えるが、片渕監督はその大ゴマが正方形であることから「スクリーンに合わせて映像化するためには、左右の風景を埋めなければならない」と語る。
そこからが片渕監督の非凡な所で、現地に行き当時を知る老人にヒアリングし、膨大な当時の現地写真を集め、印象的な松や周囲の特徴を元に現在の場所をつきとめ、それを元に古写真を集め、同じ場所の別画角の写真に防潮堤があることを発見して、一コマ目の画面外にあるのは海だと突き止める。

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