お金も手間もかけずに人生を面白くするヒントとは - 『たった1日で人生を300倍面白くする方法』
にもつながる。「スマホをやめてみる」ことを本書が推奨する背景にはレヴィ=ストロースが『野生の思考』で解説したブリコラージュ論がある。文明を捨てれば、その分人間は強くなれるというわけだ。
たかが辞書を引いたりスマホをやめることにソクラテスやレヴィ=ストロースを持ち出すのは大げさすぎるように感じるかもしれないが、こうやって説明されると簡単にできるこれらの行為にもそれなりの意味や狙いがあることがわかる。本書は、各節の見出しを読んだだけでは「バカバカしいなあ」と思ってしまうものであっても、哲学を絡めた本文の説明を読むと「たしかに一理あるかも」という気持ちになるから面白い。
○哲学で「ものの考え方」を変える
結局、日常を面白くするために最低限必要なのは「ものの考え方」を変えることである。別に何か新しいことをはじめたり環境を大きく変化させなくても、普段と違う「ものの考え方」を身につけ実践すればそれだけで日常はまた違う姿を見せるようになる。
この「ものの考え方」を変えるのに、哲学は大きな力を発揮する。
なぜなら、哲学が中心的に扱っているテーマがまさにこの「ものの考え方」だからだ。本書が「人生を面白くする方法」