○TPA(貿易促進権限)
TPA(貿易促進権限)は、米連邦議会が、米大統領に外国との通商交渉に関する権限を一任する仕組みで、TPPの合意にはTPA法案の成立が不可欠とされています。
米国では、こうした権限は議会が持つと憲法で定められており、通常は大統領が通商協定などの取り決めを自由に行なうことは出来ないとされています。このため、米国と交渉する国が大統領と合意しても、それを議会の決議で修正される可能性があります。
しかし、TPA法案が成立した場合、議会は、大統領が提出した協定案に対して承認するか否かを採決することしか出来なくなり、議会の審議が簡略化され、迅速な通商協定の成立が見込まれます。
足元では、TPA法案が米議会の上院で可決されたものの、下院での可決は難しいとの見方もあり、法案が成立するか否か、不透明感が残ります。ただし、成立すれば通商交渉に関する迅速な意思決定が可能となり、自動車部品とコメに関する調整を巡り難しい交渉が続く日米間の協議が、早期妥結へ向かうと期待されます。
日米の協議が順調に進展すれば、年内にもTPPが合意に達するとの見方もあるなか、TPP合意に向けた切り札として、TPA法案の行方に注目が集まっています。