くらし情報『女の節目~人生の選択 (18) vol.18「初めての、結婚」【33歳】』

2015年6月12日 16:00

女の節目~人生の選択 (18) vol.18「初めての、結婚」【33歳】

茶番は承知だ、今日くらいは私の晴れ舞台、一世一代のコスプレに上手に付き合え。そんな無言の圧力を感じて、練りに練ったスピーチ文を、2オクターブくらい高い声で読み上げたりもした。

私にとってはただのよくある土曜のパーティー、交際費から割り切れぬ額の札を抜き出して、おいしいフルコースを堪能し、大変身した友達の写真をパシャパシャ撮って、同じテーブルについた旧友たちと近況報告し合い、引き出物の包みを物色しながらトボトボ帰る。それだけ。でも、彼ら彼女らにとっては、一生に一度あるかないかの、大きな大きなセレモニー。誕生日パーティーなんかよりもっとずっと、彼ら彼女らの求めるものを真摯に演じてやらねばならない。ビンゴ大会にはしゃぎ、初対面の新郎友人たちの集団と楽しくもない三次会へ流れ、訊かれれば連絡先を教え、一種独特なそれらのノリに、応じ続けなければならない。

ずっと独身でいるつもり、だったアラサーの私にとって、「結婚」とはすなわち、こうした「結婚式」のことだった。
「結婚」と言われれば、まず白くて長いヴェールやブーケトス、一対の指輪を横たえるピロー、ステンドグラスにキャンドルサービス、一口サイズの焼き菓子、大騒ぎの宴のあとで役所の夜間窓口へ届けられる婚姻届、けっして連絡など寄越しやがらない三次会で隣に座った新郎友人、などを想起した。

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