『俺の家の話』でも注目の前原滉、人生を変えたヒッチハイク「小栗旬さんにはなれない」
――というのは?
周りの方々の名前を聞いたときに、この方たちが露木という人間も物語も動かしてくれるから、僕が量ることではないと思ったんです。観客のみなさんは、露木目線で共感したり、共感しなかったりしていくと思いますが、僕はただそこに立って、みなさんにおんぶに抱っこ状態でいればいいと。実際、本当におんぶに抱っこでした。皆さん本当に素晴らしくて。
――本作でも強烈ですね。
撮影でも笑ってしまって。定食屋さんで、厨房の奥のほうから、はいりさんが2人分の定食を持って出てくるシーンがあるんです。そのとき僕は今野(浩喜)さんと向き合って、正対して無言で待っているのですが、途中から、「今野さん、面白いな」とか思い始めてしまって、そのうちに、重いお盆を持って小鹿のように歩いてくるはいりさんが視界の端のほうに入ってきて。
耐えられなくて笑ってしまいました。
――独特の動きをされますからね。
大先輩のお芝居を止めてしまって申し訳ないと思いつつ、笑わずにいられませんでした。ほかのキャストの方々も、きたろうさんに石橋蓮司さん、嶋田久作さんと、すごい方々ばかりで、みなさん、池田監督の空気のなかで同じようなニュアンスで演じているのに、それぞれ個々の色があるんですよね。