2015年6月19日 13:16
JAXAの「火星の衛星からのサンプル・リターン」計画とは (1) のぞみを継ぐもの
今から5年前、小惑星探査機「はやぶさ」が7年間の航海を終えて、地球に帰還した。さらにその7年前の2003年12月、その「はやぶさ」が、地球の重力圏から脱出するための地球スイングバイの実施に向けて宇宙空間を航行し続けていたころ、ミッションを断念せざるを得なくなった探査機があった。火星探査機「のぞみ」である。
「のぞみ」は1998年7月4日に打ち上げられ、翌1999年に火星に到着する予定だった。しかし、航行中に問題が起こったことで、予定より4年遅れで火星に到着することになり、さらにその後別の問題も発生し、探査機を火星を周る軌道に乗せるためのエンジンを噴射させることができなかったことから、火星軌道への投入を断念することになった。現在「のぞみ」は、ほぼ火星の軌道に近い、太陽を中心とする軌道上を飛び続ける人工惑星となっている。
日本はいつ、ふたたび火星に挑むのか。2015年6月9日、その一端が明らかになった。
○のぞみを継ぐもの
2015年6月9日に開催された宇宙政策委員会の宇宙科学・探査小委員会の第2回会合において、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究所(ISAS)は、「火星衛星探査」