2015年7月2日 18:08
クリエイターが語る「Photoshopと私」 (13) グラフィック/アートコレクティブ「NAM」 グラフィックデザイナー・中沢貴之さん & フォトグラファー・間仲宇さん
クリエイター側の意識にまで進化を促したといえると思います。
もともと、私たちのテグスを使った作品も、「テクノロジーで何でもできる時代に、人力でそれらを再現したらどうなるんだろう?」というシンプルで逆説的な発想から生まれました。そもそも、Photoshopが存在していなければそんなこと自体考えなかったはずです。
個人的な話で脱線しますが、私は映画を見るのが好きで、テクノロジーを考える時のひとつの参考として、クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』をNAMの制作中によく思い浮かべるんです。この作品はリアルセットにこだわり、CGは最小限にして、双方を絶妙にミックスさせた表現を用いています。それはポストテクノロジーにふさわしい観たことのない世界観で、強い現代性を感じました。これは、テクノロジーが促し可能にさせた、クリエイティブにおける進化の最良の例のひとつだと思います。私はあんな関係性が理想だなと、いつも思っているんです。
「Photoshopの進化と共に、クリエイターの意識も一緒に進化していく」。このふたつの領域の駆け引きの中に、誰も見たこともない、新しいビジュアルクリエイトのヒントがまだまだ隠されている気がしてなりません。