3次元実装は日本で研究 - IBMが注力する脳型コンピュータチップ開発(前編)
これに対して人間の脳はMPUとメモリが共役している。これらの問題を解決するためには、ソフトウェア的な取り組みだけではなく、ハードウェア・アーキテクチャからのアプローチが必要である。
○ニューロモーフィック・デバイスを開発
米国国防省国防高等研究計画局(DARPA)は、2008年より「The Systems of Neuromorphic Adaptive Plastic Scalable Electronics(SyNAPSE:神経形態学に基づき柔軟で拡張性あるエレクトロニクス)開発プログラム」に5300万ドルの助成を行っており、IBMはその主導メンバーとして参画している。
もともとシナプス(synapse)は、神経細胞間あるいは筋繊維、神経細胞と他種細胞間に形成される、シグナル伝達などの神経活動に関わる接合部位とその構造のことであり、これを電子回路で実現しようという試みがsyNAPSEプログラムである。
IBMは、DARPAから研究資金を得て、2014年8月に、神経細胞の情報伝達の仕組みをモデル化して新たな並列分散処理アーキテクチャを採用した「トゥルーノース(TrueNorth)」