若き起業家たちの夢とその戦略 (6) 「だから僕は、社員に思考プロセスを開示する」FiNC溝口氏のこだわり
業績が低迷している企業は往々にして、経営陣と現場との間に軋轢があります。これは、「経営陣のコミュニケーション能力の乏しさ」と「現場の理解力の無さ」に問題があるためだと考えています。
たとえば、僕もアルバイトだったとき、社員の指示に納得できなかったり、違和感をおぼえたりした記憶があります。しかし、僕が社員になったときは、アルバイトが僕に対して、当時の僕と同じ不満を抱えていた。「ある立場になった途端に、下から同じ不満を持たれる」という構図が続き、双方の摩擦がなかなか解消されずにいたんです。この原因はシンプルで、当時見えていなかったものが、1段上がることで見え始めたからです。
1階にいた経験しかない人は、当然1階からの景色しか見えません。一方で、10階まで上った経験のある人は、10階からの広い視野を持って意思決定できるわけです。
僕も社員になって初めて「(当時の社員は)こんなに次元の高いところからものを見ていたんだ。自分が理解できていなかったんだ」と気づきました。
この気付きから、二者間にある隙間を埋めていくための施策を行ってきました。組織が一枚岩になれば実行力が増します。指示を出すのは上の人でも、実際に動くのは現場ですから、お互いの間で信頼関係ができていれば、強い実行力が生まれると考えたわけです。