若き起業家たちの夢とその戦略 (6) 「だから僕は、社員に思考プロセスを開示する」FiNC溝口氏のこだわり
――― そういった経験を、現在の組織運営にどのように活かしていますか?
どんなに難しい意思決定をするときであっても、伝えるのが億劫なことであっても、社員に対して思考プロセスを丁寧に開示するようになりました。
たとえば「60度」と耳で聞くと、人によって温度や角度など、捉え方はさまざまですよね。自分が温度のつもりで伝えても、相手の受け取り方が違うと、コミュニケーションは成立しなくなりますし、コミュニティもまとまらなくなります。
また、僕たちは「世界で最も戦略の実行スピードが速い組織」を目指しています。アイデアはいくらでも思い浮かびますが、形にするには実行力が必要不可欠ですし、形にできなければ価値を生み出せません。そのために、やはり、積極的なコミュニケーションが大切になります。スムーズに意思疎通できていれば、変な遠慮が生まれて物事が進まなかったり、ムダな時間を過ごしたりすることはありません。
加えてもう1つ、明確なビジョンを持つことも重要だと考えています。
言い換えると、ゴールを曖昧にしないことでしょうか。ゴールがクリアになっていれば、目の前に突き付けられる選択肢を正しく選ぶことができ、迷わず最終地点へと向かっていけますから。