2015年10月13日 12:00
兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (32) 兼業漫画家が考える、「前の作風の方がよかった」と言われた時の対処法
などという凄惨な評価を受けることになりかねない。
今思えば、初代担当の「絵は上手くならなくていい」というアドバイスは、かなり的を射ていた助言だったのかもしれない。だが内容はともかく、少なくとも絵は描いていくうちに変わっていってしまうものだ。急に絵を上手くすることはできないが、急に下手にすることもできない。わざと下手に描いても、読者には見透かされてしまうだろう。
そのため、わざとらしくなく、絵を当時のレベルに戻そうとしたら利き手を負傷するしかない。毎回ブレが出てはいけないので、連載中は常に一定のレベルで利き手を負傷する必要がある。軽すぎてもいけないし、勢い余って骨を折ったり、作家生命を絶ってしまったりしてもダメだ。
○連載漫画が「迷走」する”しくみ”
しかし、昔に固執しても先がないというのも確かだ。デビュー時の方が売れていたと言っても、それは今が「極端に売れてない」からであり、それに比べれば「普通に売れてない」デビュー作の方がマシだった、というだけだ。
では、今のままではダメだと思った作家が何をするかというと、とりあえず今の作品には無い要素を取り入れようとするだろう、それは「美少女」