くらし情報『兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (32) 兼業漫画家が考える、「前の作風の方がよかった」と言われた時の対処法』

2015年10月13日 12:00

兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (32) 兼業漫画家が考える、「前の作風の方がよかった」と言われた時の対処法

なので、「前のほうが良かった」という感想に限らず、作風について何か言われた時の対処法は「とにかく落ち着く」ことである。まず仕事場の窓を開け、シーブリーズを裸の胸にパーンと一発叩きつけ、ここは六本木ヒルズの最上階で、自分はIT企業の若き社長だと思うようにしている。IT企業の社長はシーブリーズを使わないかもしれないが、それだけクールになれということだ。

確かに「前の方が良かった」と思っている人はいるだろうが、その意見一つで読者全員がそう思っていると思いこんでしまったり、焦るあまり描きかけの原稿に意味のないパンチラを入れてしまったりしてはいけない、ということである。

逆に、読者は悪意がなくても「前の方が良かった」と作家に言わない方が良い。私のように病み気味の作家の場合、勢いあまって利き腕を負傷しに手近な車道に飛び出したり、あるいは吹き矢付きドローンを読者めがけて発進させたりするからだ。

カレー沢薫
漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。
会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」

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