くらし情報『兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (33) 猫もまたいで通る「老後」の話』

2015年10月20日 12:00

兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (33) 猫もまたいで通る「老後」の話

兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (33) 猫もまたいで通る「老後」の話
今回いただいたテーマは「老後」である。

はっきり言って、漫画家という職業に関係なく暗黒のビジョンしか思い浮かばないので、できるだけ考えないようにしている話である。私がそう思っているだけでなく、今や多くのメディアが、貴様らの老後はデスロードだ、お先は真っ暗であると報道しているのだ。

○老後は地獄のデスロード…?

最近「老後破産」というテーマで組まれたテレビ番組を良く目にする。タイトル通り、バラエティ豊かな破産した老人が出てくるという、「とにかくブルーになりたい」という人以外は見ない方が良い内容だ。他人の不幸を米以上の主食にしている、いわば「不幸ソムリエ」たる私だが、子どもや老人の不幸は酢に匹敵するほどすっぱくなった古いワインのようなもので、テイスティングの対象外となる。あくまで、健康で働き盛りの癖にギャンブルとかして困っている人が好きなのだ。

しかもこういう番組に出てくる老人は、若い頃散財しまくって今困っているというわけでは決してない。
確かに見通しは若干甘かったのかもしれないが、普通に暮らしていたらこうなった、もしくは突発的不幸で老後の計画が狂ったという人がほとんどなのである。つまり我々の老後は、贅沢していたら死ぬ、普通にしていても死ぬ、何か起こったら死ぬ、というDead or DEAD or Die、モヒカン頭の悪漢がジープで走り回ってなくても、かなり世紀末な世界観となる。

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