2015年11月16日 14:32
トヨタも拡大検討の在宅勤務制度、8年前に導入の日本HPに課題と現状を聞く
羽鳥氏は、「制度の導入で、顧客と会う時間が増えたというデータも出ている」と指摘。結果として生産性を上げることにもつながっているようだ。
そうはいっても、新しい制度の導入に反対の声はなかったのだろうか。これについては、「フリーアドレス制の素地があったので比較的、理解を得やすかった」と話す。同社では2001年に社員が自席を持たない「フリーアドレス制」を導入。1人1台ノートPCを持ち歩き、社内のどこにいても仕事ができる環境が既に整っていた。その延長線上に在宅勤務があったのだ。
「海外の同僚や上司とのやりとりはほぼリモート。
会議システムや決済の認証ツール、共通資料のファイリングなどもオンライン上で全て可能だった」と語った羽鳥氏。グローバル企業でありかつ、IT企業であったという同社の特色がいち早い制度の導入につながったのかもしれない。
○震災が大きな転機に
一方で、制度が定着するまでには課題もあった。登録はするものの、実際に制度を利用する人の数がなかなか増えなかったのだ。社内には、「本当に活用できるのだろうか」という不安の声があったという。そんな社員の意識を変えるきっかけとなったのが、くしくも東日本大震災だった。