2015年12月1日 12:00
1990年代をピークに衰退してきた日本のスキー産業に再浮上はあるのか?
もう一方は、中国や東南アジアなど、あまり雪に親しんだことのないインバウンドだ。前者にはジャパンパウダーと彼らの長期滞在を支える麓の“街”が必要。ニセコには海外の投資を呼び込んだ外国人街が、白馬には大糸線が貫く白馬村が、野沢温泉には長野県内屈指の温泉街がある。
ジャパンパウダーを期待できない首都圏近郊のスキー場は、まずは雪に馴染んでもらうということで後者の取り込みのほうが向くのではないか。ただ、中国の経済停滞が指摘される中、彼らの消費意欲がいつ途切れるかわからないリスクはある。その意味では欧米からの需要のほうがやはり安定的だろう(井上氏)。
前出の観光庁の資料によれば、アメリカのスキー場は1982年に735箇所あったが、2005年には478箇所まで減っている。それにも関わらず、スキー場の利用者数は82年の5,000万人弱から7,000万人弱まで増えたとしている。
こうした情勢を踏まえれば、日本にとって井上氏のいう安定した需要の取り込みの好機といえる。
では、そのほかの突破口はあるのだろうか。
●スキーメーカー、スキー場、それぞれの対策
サロモンブランドを担当する田口氏は「1990年代はスキー産業の全盛期で、私たちの製品も店頭に置けば売れるという状況でした。