2015年12月3日 12:00
東京都を"書体"にした「東京シティフォント」が生まれた理由は? - 社長さんに聞いてみた
――これ以前にも、「金シャチフォント」「濱明朝体」といった、都市をモデルにしたフォントをつくられています。こうしたフォントの開発の狙いは?
まず第一に、世界を見渡すと都市間競争が次第にはげしくなっているという背景があります。都市の活性化が一国の経済と切りはなしがたい現代社会において、魅力があって分かりすい都市の設計は重要な課題です。例えばここ数年のロンドンは、積極的かつ長期的に都市デザインの再構築をおこなっていて、一定の成果を上げつつあります。
都市フォントは、都市の情報インフラに統一性をもたらすだけでなく、都市のアイデンティティを形成し、都市コミュニケーションの道具としても活用できます。さらに、都市が固有に育んできた地域性を書体デザインの資源として活用することで、より魅力とバラエティに富んだフォントが増えることにも期待しています。
――名古屋、横浜ときて東京がフォントとなりましたが、選出理由になにかエピソードがあればお教えください。
名古屋は私の故郷で、最初に描いた金シャチフォントのスケッチで手ごたえを感じたのが都市フォントプロジェクトの始まりです。
半年かけて都市フォントの全体構想を練り、専用サイトを立ち上げたのが2009年になります。