2015年12月9日 11:30
大学デビューの落とし穴 (17) 12月:偏ることを恐れると何もできない学生になる?
しかし、抑圧があってこそ、そこから自由になろうとする強い心が育まれると、わたしは言いたい。キツすぎて病んじゃうほどの抑圧からは全力で逃げるべきですが、筋トレだと思えるレベルの抑圧については、引き受けておくに越したことはありません。
たぶん、みんな将来が不安なんだと思います。だから自分の中にいくつもの可能性を持っておきたいんだと思います。しかし、偏ることをむやみやたらと恐れるひとより、己の偏りを知り、得意分野ではバリバリ活躍して、苦手分野では誰かに頼ることを恥ずかしがらないひとの方が、重宝されるし、愛されます。なぜ愛されるのか? それは「偏り」というのが「個性」の別名だからです。学生としてどんな偏りを身につけられるか、いかに面白く&チャーミングに偏っていくか。そこを考えることが何より大切なのではないでしょうか。
トミヤマユキコ
ライター・大学講師。「週刊朝日」「文學界」でブックレビュー、「ESSE」「タバブックス」でコミックレビューの連載を持つライター。早稲田大学などでサブカルチャー関連講義を担当する研究者としての顔も持っている。「パンケーキは肉だ」を合い言葉に、年間200食を食べ歩き『パンケーキ・ノート』(リトルモア)