2015年12月20日 08:00
アンゼたかしさんに聞いた、英語を訳すのに大切なこと
――字幕をつける作業の間、何度くらい見るんでしょうか
字幕制作ソフトを使いながら作業をすると何度も見ることになります。訳を作る上で大事なのは、このセリフはどことどうつながっているのかということ。ときおり、映画の中で意訳に見えることがあるとしたら、それは全体を踏まえた上での訳だったりもします。ドラマの帰結に向けてセリフのひとつひとつが成り立っています。全体をどう捉えて訳すかということが、翻訳者に問われる部分だと思います。
――映画翻訳は、映画作品を解釈する仕事でもあるわけですね。そういうことは、最初から意識されてましたか?
僕が師事した先生も「ドラマというのは……」「セリフのひとつひとつは……」とよく言っていたので」、実際に仕事をしてみて、やっぱり先生の言うとおりだと実感しています。数を見れば、この作品のここがポイントだということは分かるようになると思います。
問題はそれを日本語のセリフでどう表現するのか、ということです。
○翻訳者でも一度しか見せてもらえなかった『インセプション』
――これまでで、印象に残っている仕事というのはありますか?
たくさんありますが『インセプション』は、特に印象に残っています。