2015年12月25日 10:00
定理をいきなり思いつくってホント? - 「数学者」に話を聞いてみた
そこで私は、公園の問題と熱の問題が両方とも一度にわかる、普遍的な枠組みを作ろうと思ったのです。これが博士論文のテーマとなりました。しかし、これでもまだ人のやっていることの真似ごとをやっているような気がして、何か新しいブレイクスルーがほしいと悩んでいるところではあります。
●数学なんて役に立つんですか?
○「定理を思いつく」ってどういうこと?
―「シャワーを浴びているときに定理を思いつく」という坂田先生のエピソードを聞きましたが、"定理を思いつく"というのは、いったいどういう状態なのでしょうか?
「○ならば××」という形の証明の必要な主張を「定理」と呼びます。「定理を思いつく」というのは面白い仮定「○」と結論「××」のペアに気づくことを言います。この段階では正確には「問題を思いついた」と表現すべきでしょうが、証明できたことにして、先走って「定理を思いついた」と言ってしまうことがあります。もちろん、ちゃんと証明もできた後は「定理を思いついた」と堂々と言っています。一方、「○ならば××」という主張は先にあって、その証明をしようとするときに、計算の難しさなどの理由で、途中で行き詰まることがあります。