ソニー「Backlight Master Drive」から見る、テレビ製造トレンドの変化 - 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」
HDRを正しく再現するには、明るい部分をとにかく明るくできること、そして逆に、暗い部分を本当に暗くできることが重要だ。液晶はそうした「コントラストのある絵作り」が苦手なデバイスだが、これまでもバックライトを工夫することでハードルを超えてきた。
具体的にいえば、HDR対応機種はパネル (導光板) の裏側にバックライトを並べる「直下型バックライト」でカバーするものがほとんどだ。一般的な液晶ディスプレイで使われる「サイドライト」では、明るいところと暗いところを細かく分けるのが難しく、HDRの精細なダイナミックレンジ表現には向かない。
●バックライトが鍵を握る
○Backlight Master Driveの仕組みと能力
ここでBMDの話に戻るのだが、簡単にいえばBMDも直下型のバックライトとそれに最適化した映像処理技術の総称である。ただし、そのクオリティは過去の直下型をはるかに超える。発色もコントラストも、「液晶より有利」と呼ばれる有機EL (OLED) にかなり近いものが実現できているのだ。液晶ではどうしても「黒が黒くならない」という難点があったし、OLEDも「トップ輝度が高くならない」