ソニー「Backlight Master Drive」から見る、テレビ製造トレンドの変化 - 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」
「しかし、今は違います。テレビ用パネルのニーズはそこまで多くない。パネルメーカーは、パネルを求めるテレビメーカーの言うことも聞かないと、安定した販売が見込めなくなってきた。なので、こちらの考えを反映したパネルが作りやすくなってきたんですよ」
なるほど、それは面白い。
日本のテレビメーカーが高級機で使う液晶パネルは、今は「オープンセル」と呼ばれる調達形態が主流になっている。液晶ディスプレイは、液晶部とバックライト、表面のフィルターなど、多数のパーツで構成される。過去にはそれらをまとめた「モジュール (クローズセル) 調達」が多かった。「どこでもパーツさえ買ってくれば作れる」と揶揄される作り方は、モジュール調達の話である。
だがオープンセル調達では、液晶部だけ買い、バックライトやフィルターは自社で開発・調達して作り上げる、という形が採れる。こうしたことは2013年頃から広がっている。当初は低価格化のためのソリューションだったものの、現在はむしろ高画質化に必須のやり方になっている。それができるのは、テレビが「低価格で数を売る」時代から、「高品質なものを、必要としている人に売る」時代に変わったからだ。