2016年1月26日 12:00
兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (47) デザインを学んだカレー沢薫の「卒論」
非常に高い授業料であった、もちろん親にとって。
今思えば、当時の自分はクリエイターになりたいというよりは、好きなイケメンキャラの顔(全部左向き)だけを描いて暮らしたいと思って、その学校に入学したような気がする。あれから10年余り経ったが、未だにそういう求人は見たことがない。もしこの世のどこかにあるなら、今からでも会社なんか辞めて目指したい所存だ。
○カレー沢氏の卒業と「猫」の誕生
そんな志の人間ですら卒業できるのだから、専門学校というのは金さえ出せば入れるし、出られると思われるかもしれない。しかし、確かに大学よりは緩いかもしれないが、一応卒業日数などが足りないと卒業できないし、冒頭で言った通り、大学の卒論にあたる「卒業制作」というものがある。
卒業制作とは何か。簡単に言えば、「何か作れ」ということである。
私にとっては、2年の月日と親の金をドブに捨てて得たものの集大成、もっと正確に言うと、「貴様の恥を見せろ」ということである。
グラフィックデザイン科だけに、架空の企業や商品のポスターやロゴなどをデザインする者が多かった。しかし、作る物は本当に何でも良く、メインストリームに準じずとも、イラストを巨大パネルに描いて「これが俺の2年と親の金や!」