女性活躍が進まないのは「メンバーシップ型雇用システム」のせい? - 『働く女子の運命』
ジョブ型社会で男女平等を実現する場合、ジョブへの就労自体の男女平等を促進すればいい。男性の占める割合が多いジョブなら、時には女性を優遇して(アファーマティブアクション)男女比の適正化をはかる。また、男性の多いジョブと女性の多いジョブの付加価値が同様で賃金格差があるというなら、「同一価値労働同一賃金」を適応して賃金の適正化をはかる。メンバーシップ型社会における男女平等よりも話はずっとシンプルになる。
○働く男子も必読
日本がメンバーシップ型社会であることから生じている問題は、何も女性の社会進出に限った話ではない。たとえば、日本人が働きすぎていてワークライフバランスが改善しないという問題も、結局は「会社と労働者の結びつきが強すぎる」ことに原因がある。そういう意味では、本書は働く女子に限らず、男子も読む必要があると言えるだろう。本書をもとに「働きづらさ」の正体について考えてみるというのはいかがだろうか。
日野瑛太郎
ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。