『ぼけますから―』信友直子監督、両親の衝撃的な姿をさらす覚悟「カメラを持っていたからこそ、救われていた」
私は、普段怒る性格じゃない父が、あのシーンを使ったことを不満に思っていたらどうしようと不安もあったのですが、『“仁義なき戦い”みたいでカッコ良かったんかの?』と喜んでいたのを見て、思わず笑ってしまいました(笑)」
この父親の明るい性格は、『ぼけますから』シリーズに欠かせない要素で、老老介護の大変な実態を映す中で、前向きな気持ちにさせてくれる。劇中で見せる、100歳にしてファミリーレストランの大きなハンバーグをペロッと平らげてしまう見事な食べっぷりにも注目だ。
●映画上映はテレビより“体感”できる
長年テレビディレクターとしてドキュメンタリー番組を手がけてきた信友監督。劇場映画の製作という点においては、どのような意識をしているのか。
「映画のほうが余白を持って映像をつないでいます。そこで、見ていただくご自身の大切な人や、親御さんのことや、これからの人生のことなどに思いを馳せてもらえるようなリズムで作っているんです。テレビは説明要素を意識して作ることが必要なので。映画はナレーションも必要最低限にしています」
『ぼけますから』シリーズは、フジテレビ『Mr.サンデー』や『ザ・ノンフィクション』で放送されているが、映画館は集中して見る環境であるため、テレビ放送時に比べてテロップも大幅に少ない。