2016年2月22日 13:00
さよなら、「フィーレイ」 - 史上初の彗星着陸に挑んだ小さな探査機の物語 (1) ジョットからロゼッタ、フィーレイへ
欧州宇宙機関(ESA)は2月12日、昨年7月から通信が途絶えている彗星着陸機「フィーレイ」(フィラエとも呼ばれている)について、「永遠の眠りに就こうとしている」とし、復旧の見込みがほとんどないことを発表した。
フィーレイは2014年11月12日、「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」の本体(核)への着陸に成功。予定されていた探査はほぼ終えたものの、太陽光が当たりづらい場所に着陸したことで太陽発電が十分に行われない状態が続き、バッテリー切れに陥った。運用チームは彗星が太陽に近付き、フィーレイへの再充電ができるようになるまで、電源を落として冬眠状態に置くことを決定。その後、約7カ月後の昨年6月13日に再起動に成功し、散発的に通信が行われたものの、7月9日からふたたび途絶えたままの状態が続いていた。
その後、彗星は太陽から離れていく方向に飛び、条件は日を追うごとに悪化していた。運用チームは今年1月10日、探査機に姿勢を動かすよう指令を送信した。機体がどのように動くかは予測できないが、うまく姿勢が変わり、さらに太陽電池の表面に積もっていると考えられている塵をふるい落とすことができれば、太陽光が当たりやすくなり、通信が再開できるかもしれないと期待された。