2016年2月22日 13:00
さよなら、「フィーレイ」 - 史上初の彗星着陸に挑んだ小さな探査機の物語 (1) ジョットからロゼッタ、フィーレイへ
しかし、現在までフィーレイからの応答はなく、姿勢は変わったのか、ホイールが動いたのか、そればかりか指令を受け取ることができたのかすら不明となっている。すでに彗星と太陽との距離は3億kmを超えており、今後フィーレイが復活することはもうないだろうと見られている。
フィーレイはどのように造られ、彗星に降り立ち、そしてミッションをやり遂げたのか。今回は彗星着陸という史上初めての試みに挑んだ、小さな探査機の軌跡を紹介したい。
○彗星への挑戦
私たちの頭上にたびたび現れては、巷をにぎわせる彗星。大きく尾を引きながら夜空に浮かぶ姿は、多くの人々を魅了し続けてきた。
けれども、その表面に降りてみようなどと考える人は、果たして何人いただろうか。
月や火星のような星であればいざ知らず、彗星は小さく、重力が小さいため着陸が難しい。
おまけに表面には、着陸に適した平らな場所もあまりない。さらに表面からは尾の原料となるガスや塵が噴き出しており、いつどこで噴き出すかもわからない。その噴射をまともに食らえば、宇宙のかなたに飛んでいってしまうか、運が良くてもどこかが故障することは間違いない。そんな危なっかしい星の表面に降りるなど、SF映画でしか見られないような無謀な挑戦だった。