2016年2月22日 13:00
さよなら、「フィーレイ」 - 史上初の彗星着陸に挑んだ小さな探査機の物語 (1) ジョットからロゼッタ、フィーレイへ
しかし、遠くから見つめているだけでは、彗星の本当の正体はいつまで経ってもわからない。虎穴に入らずんば虎子を得ず。彗星をより深く知るには、その本体である「核」に直接触れ、分析する必要がある。
2004年、欧州宇宙機関(ESA)が開発した彗星探査機「ロゼッタ」が打ち上げられ、2014年に目的地のチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着した。そのロゼッタには「フィーレイ」という小さな探査機が搭載されていた。ESAとドイツ航空宇宙センター(DLR)が開発したこのフィーレイこそ、まさに虎穴に入り虎子を得ることを狙った、史上初の彗星着陸機だった。
○ジョット
ESAが最初の彗星探査機の検討を始めたのは1970年代のことだった。1986年には「ハレー彗星」が76年ぶりに地球に近付く。
この機会を狙って探査機を打ち上げ、彗星の近くを通過させて探査しようとしたのである。
ソヴィエト連邦、日本の宇宙開発研究所(ISAS)もまた、この機会を利用して探査機を打ち上げることを決定。そして1984年から1985年にかけて、ESAは「ジョット」、ソヴィエトは「ヴェガ1」と「ヴェガ2」、そして日本は「さきがけ」と「すいせい」