『キル・ビル』コンビ再び! - 『ヘイトフル・エイト』美術の舞台裏を種田陽平が語る
しかも、タランティーノ監督は台本にものすごく書き込むんですよ。たとえばオープニングで雪の中に立っているキリスト像がありましたが、あれも「いわゆるヒッピー的なキリストの顔立ちではなく、エイデンシュタインの『イワン雷帝』のような出で立ちをした、北欧彫刻のような、この場にふさわしくない像」とか書いているんです。
――こ、細かいですね。もう監督の頭の中に出来上がっているんですね。
種田:そう。それで面接に備えて、いくつかイメージ画を描いて持っていったんですが、監督はほとんど見ず、「おまえと一緒にやりたかったんだよ!」みたいな話に終始しました(笑)。
――(笑)。コンペ方式にしたけど、監督の中では決まっていたんでしょうね。
種田:僕に決まったと連絡が来たのは9月に入ってからだった。そして、ロケ地は標高3000mくらいの場所で、12月から撮影を開始したいと監督は希望していた。11月にはもう雪が降りだすだろうし、撮影前に高地にロッジが建ってないといけないでしょう。これはやばいとなって、決まったと同時にロケハンに行ったんです。
●タランティーノ監督の"規格外"な画づくりの仕掛け
――厳しいスケジュールですね。