『キル・ビル』コンビ再び! - 『ヘイトフル・エイト』美術の舞台裏を種田陽平が語る
たとえば黒い服で背景がグレーだと溶けこんでしまうから、背中側からライトを当てることで輪郭を際立たせたりする。
――逆光で写真を撮ると髪の毛の輪郭がふわっと明るくなるのと同じですね。
種田:ところが、全カットそれをやるわけにはいかないから、日本の場合は光を回すんですね。
――アメリカではあまりライティングのつながりを気にしないんですね。
種田:……と、そういった日本とは異なる撮影事情をふまえてセットを造る必要があるんです。
――おもしろいですね。たとえばどんなところに気をつけたのでしょうか。
種田:たとえば入口付近の天井を見てほしいのですが、この天井をスリット状にしているんです。
実際に丸太を組んで、その上に天窓を作りました。こうすると光が通るので、入り口に立った俳優の頭上から光が射すんです。
――先ほどの逆光と同じで俳優が浮かび上がるわけですね。
種田:この天井は取り外せるようになっていて、上にものを置くことができるという設定にしました。それから、扉や壁にわざと隙間を作りました。
――えっ、実際の雪山で撮影しているのに?
種田:ロッジは隙間だらけじゃないと、と監督がこだわったんです。