『キル・ビル』コンビ再び! - 『ヘイトフル・エイト』美術の舞台裏を種田陽平が語る
一応、暖炉はあるけど寒くて、登場人物の吐く息は白くならないとだめなんだというのが監督の要求だった。雪も吹き込んでいたでしょう。
――す、すごいこだわりですね……。さすがタランティーノ監督。
種田:でも夜のシーンはね、さすがに無理なんですよ。雪山で撮影するのは。
――凍え死んでしまいそうですね。
種田:そこでハリウッドのスタジオにまったく同じセットを用意したんです。
――夜のシーンを撮影するためだけに?
種田:そうです。雪山は寒いけど、ハリウッドは暖かいんですよ。冬とはいえ、気温が30℃くらいある日もある。その中で、役者は猛吹雪の零下の世界にいるという演技をしないといけない。――俳優の演技力が問われますね。
種田:それがですね、クエンティンが言うには「そういう今風の撮り方に迎合していると役者の本気が出てこない」と(笑)。暖かいところでやっても寒がる芝居にはならないと言うんです。
それで、セットを建てたステージをぎんぎんに冷やしてね。
大きなトラックを6台用意して、それに巨大な冷凍装置を載せ、スタジオを-5℃まで冷やしたんです。しかも、一度冷凍装置を止めてしまうと気温が戻ってしまって、なかなか冷えなくなるから、24時間フル稼働で動かすんですよ。