他方、北海道新幹線の将来の増便余地はどうかというと、ボトルネックとなる上野=大宮間の線路容量の関係で厳しい状況だ。東海道新幹線の時間あたり運航便数限界が「通過するポイント切り替えに4分かかるため1時間に15本」にも達している状況とは、大きく異なるのだ。
また、整備新幹線区間の法的な速度制限(時速260km)や青函トンネル内のすれ違い速度制限(140km)などがあるため、運行距離を始発駅を出てから終着駅に到着するまでの時間で割った平均時速である「表定速度」を現状の最速204kmより大きく上げることも難しく、東京=札幌間の所要時間が5時間を超えてしまうことは避けがたい。これらを勘案すると、現状の条件のままでは航空からのシフトはよくて5%程度と見るのが妥当ではないだろうか。
○動く余地がある道南=東北
こうしてみると、北海道新幹線がもたらす交通流動への影響は過去の新幹線開業と比べても相対的にかなり低いものとなろう。しかし、東京駅から乗ったままで目的地に着く(移動中の楽しみ方の幅が格段に広がる)鉄道愛好者も少なからずいるし、それよりも短い区間の道南=東北間の流動は、札幌=仙台線や丘珠=函館線の航空旅客の大幅減など新幹線の料金・便数頻度次第では大きく動く可能性がある。