『ALWAYS』『寄生獣』を生んだ"説得力"とは? 名プロデューサーが、これからの映画人に期待するもの
多くのクリエーターがTCPに興味を持ったのは、やはり最大5,000万円という製作費。誰もが前のめりになって「やってみよう」と思ったのではないでしょうか。
――審査員のオファーを受けようと思った一番の理由は何ですか?
何よりも魅力的だったのは、金額面における「本気さ」。5,000万円あれば、確実に映画が作れるんです。これは決して半端な額ではありません。ぴあ(フィルムフェスティバル)では、製作援助システム「PFFスカラシップ」がありますが、そこまではかけない。それでも、石井(裕也)くんはよく作ったとは思います(第19回「川の底からこんにちは」)。だからこそ、TSUTAYAが用意する5,000万円という額は本当にすごいことなんです。
――審査する上で重要なポイントは?
「オリジナル性」と「エンターテイメント性」です。ぴあでも審査をしたことがありますが、ぴあは「作家性」を重視する傾向にあります。小さなこと、狭い範囲を深く掘り下げるような文学というか。一方のTCPは明確に「エンターテイメント」に振り切っているので、コンテストとして住み分けできていると思います。――阿部さんも数多くのエンターテイメント作を手掛けられてきましたね。