2014年4月1日 09:16
樹木の細胞壁に含まれる「リグニン」を原料にバイオプラスチック合成 -理研
が比較的良好な増殖を示したのである。
続いて、R.ユートロファ H16のPHA合成能力を検討するために、その増殖、PHAの蓄積量、および合成されたPHAの化学構造の解析が実施された。R.ユートロファ H16の培養方法は、最初から無機塩培地で培養する1段階培養、およびR.ユートロファ H16を成長しやすい富栄養培地で増殖させた後に、無機塩培地へ培地を変え培養する2段階培養の2種類で行われた形だ
その結果、R.ユートロファ H16の乾燥菌重量は0.69g/Lであり、PHAを63wt%蓄積することが判明(画像1~3)。2段階培養では、2,5-DHBAと3,4-DHBAを炭素源とした場合にPHAの蓄積が確認でき、PHA蓄積率は26wt%と13wt%だった。精製後に得られたPHAは、糖や植物油を原料として合成したPHAに比べ、分子量がやや低いものの、フィルムなどのプラスチック製品として利用可能な物性が示されたのである。
得られた結果を代謝経路と併せて考察した結果(画像4)、R.ユートロファ H16では、リグニン誘導体から芳香族カルボン酸に変換する経路(画像4注の赤点線矢印)がリグニン誘導体をPHAへと変換する際のボトルネックであることが明らかとなり、代謝経路を改変することにより、PHAの生産性をさらに改善できることが示されたという。