マクドナルド誕生の裏を暴いた『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』は"創業者"争いが痛快な人間ドラマの秀作
事業の拡大当初は兄弟と逐一ビジネスの相談をして進めていくも、いろいろな人たちと出会い、知恵と経験、財産と権力を得て己のハンバーガー帝国同様に巨大化していくレイは、やがて兄弟との全面対決へ! おそらく観る者は、全面対決の一部始終に哀しみや空虚感を覚えながらも、どこかレイがもたらすスリルや物事が発展する過程にも興奮するという、複雑な感情を抱くに違いない。
これはひとえに、レイ・クロックという男を単なる他人の財産を強奪するさもしい人間として描いていないことに尽きる。当時のアメリカン・ドリームの象徴でもあるレイは手段を選ばず、資本主義経済や競争社会の中でのし上がっていくわけだが、基本的には仕事人間で"成功するチャンスもノウハウもわかっているのに、何もしないことのほうが罪"という考え方で目の前の難題を次々と突破していく。それはビジネスの世界では自然な考え方でもあり、だからこそのレイの快進撃は観ていて痛快で興奮している自分もいるのだ。
よく映画で語られがちな"すべてを得た男はすべてを失う"的なおセンチ前回の展開はまるでなく、熱い情熱で挑戦を続け世界有数の巨大企業を築き上げた男は、はたして怪物なのか英雄なのか、というジャッジを観る者にグイグイ迫る。