くらし情報『東京団地ミステリー (1) 神様はどけられない~都営白鬚東アパート』

2014年5月16日 07:00

東京団地ミステリー (1) 神様はどけられない~都営白鬚東アパート

に支配されているからだ。「ままならなさ」には地形や気象・気候といった人間が抗えない「お天道さま」の事情もあるが、土地の所有関係や政治などいわゆる「大人の事情」も含んでいる。都市には計画が必要だが、必ずしもきれいにはいかない。というか、ほとんどの場合計画通りにはならない。どんな場所にも過去と事情があって、現在はそれを無視できない。

ぼくの好きな言葉に

"時間は消えていくものだとしても、場所はいつでもそこにあります。場所が時間の埋めあわせをしてくれます。"
スーザン・ソンタグ「若い読者へのアドバイス」(『良心の領界』序文・NTT出版・2004年)

というのがある。
場所とは時間のことなのだ。いわば空間に「ままならなさ」が積み重なって場所になる。そして東京は膨大な「ままならなさ」の集積だ。だからおもしろい。

ただ、東京全体となると、これはもう大きすぎてぼくなどが相手にするには荷が勝ちすぎる。とはいえ駅前など個別の開発だとサイズがちょっと小さすぎて「ままならなさ」が見えづらい。ここで団地の登場だ。このスケールがじつに程よい。
団地とは最小の都市なのだ。

あと、団地は規格化されているので、かえってそこに収まりきらない「ままならなさ」

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